「とりあえず教員免許を取る」はアリかナシか

教員採用

私の大学(学部)では、「とりあえず教員免許を取っておく」勢が結構な人数いました。

「とりあえず取ったけれど、教員になるつもりは微塵もない」みたいな人も結構いて、それは意味があるのか…?と思っていました。

教員免許取得自体は、そんなに難しいことではありません。免許取得自体は試験などなく、大学の単位の積み重ねで取れます。

ただ、「とりあえず」で取るにしては面倒臭い!

追加で50単位ぐらい取り、かつ、教育実習(2〜3週間)と介護実習(1週間+2日間)を受けるのって、「とりあえず」でやるにはちょっとかったるいと思います。

教育実習の受け入れ側に取って迷惑だから「とりあえず」はやめろ、という言説もありますが、今回はそれを無視して、免許取得者の利益だけ考えて「とりあえず」がアリになるorナシになるパターンを見ていきたいと思います。

アリのパターン1 修士・博士に進学予定

アリというか、この場合は取得推奨です。特に、史学・文学・数学科みたいな、就職に直結しない系の学問の人。

理由としては、まず、就職が困難ということが挙げられますね。

自分が文学部だったので容易に想像がつくのですが、文学部で博士号までとっても、相当優秀な業績を残したとしても、研究職での就職可能性は五分五分です。

文学部の博士号を持っている人を雇いたい企業って、ほとんどないですよね。

会社に需要のありそうな学問、たとえば流行りのコンピューターサイエンスとか環境系とか、なら教員免許はいらないと思います。

でも、需要の少ない、「学問」の純粋度の高い分野なら、保険として免許は取得しておくべきだと思います。

もう一つの理由が、修士や博士課程の最中のバイトに非常勤講師がちょうど良い、ということが挙げられます。

その辺でバイトするよりはるかに時給は良いですし、バイトとしては安定しているし、自分が研究していることと関係があるから楽しさも見出しやすいと思います。

あと、修士や博士課程まで来て、ファストフードでバイトはしたくないと思います。プライドを満たしてくれるという意味でも、教員免許を使って非常勤講師はいいと思います。

実際、日本の修士課程に在籍していたときは、私の周りは高校の非常勤講師だらけでした。

アリのパターン2 芸術系かスポーツ系の学問を専攻

これもパターン1と似ていて、就職先が限られている問題ですね。

音大卒(ピアノ科)の私の友人は、音楽の教員免許を取っていました。本人は全然学校では働きたくないそうですが笑、卒業後の定番のパターンが音楽の先生だからだそうです。

芸大を出たから音楽家や絵描きになれるわけでもないし、スポーツ系を出たからスポーツ選手になれるわけでもありません。

ただ、音楽、美術、体育の先生は求人が少ないのも事実です。各学校に、1〜2人ずつぐらいしかいませんからね。

それでも、免許がなければ採用試験を受けることも出来ないので、最低限の備えとしてあった方が良さそうです。

ただし、スポーツ系は、体育会気質がウケて一般企業に就職しやすいので、教員免許で保険をかけないルートもあると思います。

スポーツ系で教員免許が保険として効くのは、卒業後にスポーツ選手として生活しようとする場合じゃないかと思います。

スポーツ選手として花開けばラッキーですが、そうじゃない場合の保険ですね。

体育会枠の就職って、卒業後ストレートの枠が一番充実していると思います。ツテとコネが強い世界なので、一旦スポーツ選手になってしまった後の保険にはなりにくいと予想します。

アリのパターン3 結婚してゆるく働きたい女子

バリキャリ気質の逆で、なるべくさっさと結婚して、フルタイムは辞めたい組にはお得だと思います。

教員として一番楽しく働ける方法って、非常勤講師だと思うんですよね。

教科に関係ない業務からは解放されていて、保護者対応もなく、授業だけやっていればオッケー。結婚願望薄い私でも、教員として働くなら、この働き方はだいぶ憧れます。

そのへんでパートするより賃金はずっと良いし、仕事は日中で終わるから家族との時間も取れる。子育てにも役立ちそうだし、仕事自体にもやりがいがある。

非常勤で育休産休が取れるかは学校の規定によりますが、取れるところもあると思います。取れなくても、今教員不足でずーっと募集がかかっているので、一旦辞めてもすぐ再就職できそう。

アリのパターン4 ちょっとでも先生になりたいかも…

ちょっとでも興味があるなら、取ったほうが良いです!

免許取得自体は大変じゃないと言いましたが、社会人になってから教員免許を取るのはだいぶ面倒臭い。

特に、実習の間ずっと会社を休めるか?という問題に引っ掛かります。多分取得を志す時点で、フルタイムの仕事との両立は無理かと思います。

私の周りには、教員に憧れて就職したのに辞めた組も結構いますが、同程度に、会社勤めした後で教員に憧れる組もいます。

教員免許を持っていれば、会社員をしながら教員採用試験を受ければ良いだけですから、履歴書に空白はできません。

でも、持っていなければ、取得からですから、最低一年は無職状態です。学部の間に関連単位を取得していなければ、無職期間は三年ぐらい。それプラス採用試験ですから、一気にハードモードです。

意外と人生の中で心変わりする瞬間は訪れるものなので、ちょっとでも可能性があるなら、大学にいるうちに取得しちゃった方が良いですよ。

ナシのパターン1 マジで全然興味がない

大学生の時点で教育関係にマジのマジで1ミリも興味がないなら、その後に先生になりたいと思う可能性はほぼゼロです。

このパターンで、教員免許がその後の人生で活用されている事例をほぼ見たことがない。

教育関係の仕事でないなら、教員免許って履歴書に書いてもほぼ無意味です。免許を取る時間で就活を頑張った方がいいと思います。

ナシのパターン2 経済学部

なぜ名指しで経済学部かというと、社会の免許しか取れないうえに、歴史系があまりカバー出来ていないという理由です。

まず、社会の教員免許取得者が多いのに対して、社会の教員の求人はそんなに多くありません。

採用試験でも、社会はいつも倍率が高いです。

加えて、社会って、歴史経済政治エトセトラ全てカバーしていますが、経済学部で歴史分野をカバーするのはだいぶ厳しい。

社会の教員免許取得者が多いって言いましたが、歴史が専門の人が一番競争率的にはマシなのではないかと思います。逆に、歴史以外の分野(政治経済)を中心にして免許を取っている人の方が多い印象があります。特に「とりあえず」勢。

最初から「経済分野を専門にして教員免許を取得する」という明確な目標と戦略を持っているなら良いと思います。でも、社会は需要と供給による難易度の高さに加えて、領域のだだっ広さもあるので、「とりあえず」の役に立つか、疑わしいところであります。

あと、これは個人的な印象なんですが、経済学部卒の人が保険としての教員免許を活用している場面を全然見たことがない。

以上、「とりあえず教員免許」のアリかナシを検証してみました。

どんな場合でも、実習先に「免許はとりあえずです!」というのだけはやめましょう。(あ、でも、自分の出身校で理解のある先生ならむしろ言ったほうが良い。)

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