現在、絶賛修論執筆中です。
私は日本の大学院も修了しているので、日本の修論の書き方と随分違うなという印象です。
どちらが好きかと言われたら、修論の書き方自体はイギリスの方がクリアで好みです。が、成績の取りやすさだったら、多分日本だと思います。
イギリスはまだ結果が出ていないので想像ですが。
書き方がどう違うのか、簡単に比べてみようと思います。
1 文字数
日本: 22,000字? 上限なし、少なすぎるとおそらく減点
イギリス: 16,000 words (+10%以上は減点)
日本は文字数上限無し、下限の規定はないけれど、おそらく少なすぎると減点。逆にイギリスは上限+10%で、超えたら即減点。下限の規定は無し。
真逆で面白いですね。
日本で書いたときは、上限無しだったから、倍ぐらい(40,000字)書いた記憶があります。
教授に「何でも書けばいいって訳じゃないんだから、情報を取捨選択しろ」と言われました。笑
2 テーマ
日本: 研究室の教授のテーマに合わせる(私の場合は、教育方法についての研究)
イギリス: 何でもいい、ただし自分の経験したことのあるもの
これは学部にかなり左右されると思います。
日本の院は、「実際に教員としてどうやって教えるか」ということに焦点を当てて書く必要がありました。というのも、研究室の教授がそういう分野専門だったので。
一方、イギリスは、教授や研究室を選ぶという仕組みではないので、やりたい研究をご自由にどうぞ〜スタイル。
ただし、イギリスでは「自分が受けた教育に関係あることをやれ」というのはすごく言われました。
私の場合、日本の院では、自分の受けたことのないEUの教育をトピックにしていたんですが、イギリスではそれが出来ない訳です。
3 書き進め方
日本: 研究室のゼミで中間発表
イギリス: 全体の共通スケジュール
日本の時は、研究室で毎週ゼミがあり、そこで順番に発表していました。つまり、自分の発表のターンまでに書き進めておいてね、という感じ。
一方、イギリスは学部の共通スケジュールがあります。第一次計画書はこの日まで、みたいな感じ。
4 評価
日本: 基準は非公開。評価者は、自分の研究室の教授1名+他の研究室の教授2名を自分でピックアップ
イギリス: 基準は公開。評価者は、自分の指導教官1名+他の教授1名。どちらも自分で選べない。
まず、評価基準ですが、日本は超〜不明瞭でした。公開された共通基準とかないです。ぶっちゃけ、うちの研究室は、普通に書いていればA、スーパー優れていてもA+ではなくA、大体みんなA。Bだと「あいつどうしたの?教授になんかしたの?」って感じ。
これは、他の研究室の教授もまじえて評価するから、メンツがあるのでは…という気がします。
どの教授に評価してもらうか選べるんですが、基本は自分の研究に近い人。で、研究室の教授と仲の良い人を勧められます。私は、自分の研究室の教授とは微妙な仲の人を選んだら止められました。笑
事前に誰に評価されるか分かっているので、コンタクトを取ってアドバイスをもらうのも可能です。
一方イギリスは、評価基準が最初から公開されており、誰が評価してもその基準通りです。誰が評価してくれるかは選べません。
特に、自分の指導教官じゃない方の教授は、下手したら一度も会わないまま卒業します。だから、「自分のことを全く知らない人が読んでも理解可能な論文」を書くのが超重要な訳です。
結局どちらがおすすめか
これは自分の目的によるところが大きいですね。
師事したい教授がいる→日本(イギリスは選べません)
国際基準で論文が書けるようになりたい→イギリス(日本に基準というものはない)
とりあえず修士号が欲しい→日本(持っていて役に立つかはさておき)
面倒見てもらいたい→日本(研究室選びは慎重に)
日本語も英語も非母語→イギリス(日本は全てが雰囲気で進むので、言語に自信がないと厳しそう。イギリスは、英語が苦手でも、スケジュールや調査方法等が全てデータで渡されるから翻訳すれば良い)
研究方法を練習したい→イギリス(でも統計はやらせてくれない)
明確な研究テーマがある→イギリス(日本でも良いけれど、そのテーマが教授の興味とズレていた場合、無に戻る危険性がある。イギリスは、やりたいことが明確なら、指定された方法に従えば良い)
仲間と切磋琢磨して研究したい→日本(イギリスは超個人プレー)
資金面とか言語とか環境とか無視して、「修論を書く」ということだけで比べたら、私はイギリスにやや軍配が上がる…かな…ぐらい。どちらも圧勝にはなりませんでした。
イギリスの最大の欠点は、質的研究(インタビューとか)を求めるが、(留学生にも)対象者を自分で見つけさせるというところですかね。一年しか滞在していないのに、誰にコネがあるというのか。斡旋してくれても良いじゃん。
結果として、新卒で来た留学生(主に中国)は留学生同士でインタビューし合うから、似たようなテーマにしかならない。
日本の最大の欠点は、全てが研究室の教授次第なところ。ミエやカネが働いているのでは、と思われたシーンが多々あります。研究室選びがまあまあな博打。
まとめると、どっちもどっち。笑
特に、日本の場合は、入る前によーくリサーチすることをお勧めします。
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