大学院の授業(イギリス編)

イギリス大学院留学

現在通っているイギリスの大学院、修了は9月なんですが、3月で授業は一通り終わってしまいました。残り半年何をするかと言えば、修論を自分でコツコツ書くのみです。

授業は、必修2科目+選択2科目、四種類しかなかったです。選択科目は最低2科目〜なので、やりたければもっと取れます。が、大学院入学当初で選択しなくてはならず、学校生活がどのくらい忙しいか分からない状態で余分に取る気がしなかったのでやめておきました。

以下、四つの授業をご紹介。

(1) What is Education? (必修)

授業時間:90分の教室授業+90分の講義

授業時期:Term1 (10月〜12月)

評価方法:学期末のエッセイ (4000words)

楽しんだ度:★★★★⭐︎

内容:

授業のタイトルの通り、「教育とは何か?」というテーマで、週ごとにいろんなトピックを取り上げて行く授業。

かなり幅広いので、教師教育やら、教育格差やら、環境教育やら、トピックは飛び飛び。各トピックの主要な論を学ぶスタイル。

教室授業では、その週のトピックの論文を読んできたうえでグループディスカッションする形式。講義は講堂でその週のトピックにまつわる研究をやっている人が話す、という形。

良かったところは、教育系の論文の大事なトピックが満遍なくおさえられた点。各トピックの主要な研究者が知れるので、自分の研究に関係のありそうな人の論文を深く読むと良い。

悪かったところは、講堂での講義。建前では「その週のトピックに関係ある研究者」ということになっていますが、「これは手の空いている人に頼んだだけでは?」というような回も結構ありました。あと、大きな講堂にたくさん生徒ぶちこんで話聞かせるっていう効率重視な授業のやり方が好きになれないですね。唐突に「近くの人と話し合ってくださーい!」というお時間が来るのも辛かった。友達いないので。

(2) Curriculum Development (選択)

授業時間:120分

授業時期:Term1(10月〜12月)

評価方法:グループでプレゼン(10%)+学期末エッセイ(4000words)

楽しんだ度:★★★★⭐︎

内容:

教育の中でも、特にナショナルカリキュラム(日本で言うところの学習指導要領)に限定した授業。カリキュラムを作るときに何が重視されているのか、とか、現状の問題点とか。カリキュラムに限定しているので勉強しやすいけれど、たまに自分の中でPedagogy(教育法)とごちゃごちゃになってしまった。

カリキュラムが何を定めているかと、それを教師がどう解釈して教えるかは別、ということですね。

良かったところは、教授が毎回の授業で色々趣向を凝らしてくれていたところ。一番教授の意欲が感じられたかも。あと、この授業だけ唯一「エッセイ一発勝負」では無かったところ。おかげで、それなりに皆出席していたと思う。

悪かったところは、グループワークが評価に入るのに、準備する時間が授業内でほぼほぼ無かった点。準備時間をフルで欲しいとは言わないけれど、メンバーがコミュニケーション取れるぐらいの時間は欲しかった。

私のグループは、なかなかメンバーが全員揃わず、誰がリーダーシップを発揮するのか分からないまま終了。結果、Cマイナスというかなり悪い成果しか出ませんでした。

(3) Understanding Research (必修)

授業時間:90分の教室授業+90分の講義

授業時期:Term2 (1月〜3月)

評価方法:学期末のエッセイ (5000words)

楽しんだ度:★★⭐︎⭐︎⭐︎

内容:

「実際どうやってリサーチをするのか」という、方法について学ぶ授業。リサーチ方法の種類を学んだり、インタビュー時の倫理問題を考えたり、といったところ。リサーチ方法を学べるという試みは良いんですが、ちょっと授業のデザインとしてどうかなと思いました。★2か1か迷ったレベル。

問題点その1は、「リサーチの方法を学ぶ授業で、授業方法がいつもディスカッションというのは無理がある」ということ。ディスカッションって、意見が割れるお題でやるからこそ意味があるはずなんですよね。例えば「死刑制度はアリかナシか」みたいなやつ。でも、「リサーチ方法を学ぶ」というトピックでは話の広がりようもない。ディスカッションのお題も、「XXという方法はどんな方法か、グループ内で確認してください」みたいな感じ。ディスカッションですらない。「リーディングの課題のここに書いてあるよね。」で終了してしまう。他の生徒も何が目的の授業か意味が分からないと言っていました。だよねえ。

問題点その2は、「いろんなリサーチ方法を学んでも、修論で使えるのは結局インタビューだけ」ということ。色々な方法を紹介してくれても、「でもこれ、一年間の修士課程でやれるような規模のリサーチじゃないですよね」という感じ。自分達に明らかに関係のない方法なので、勉強に身が入らない。だったらむしろ、ほぼ全員インタビューしかしないんだから、インタビューの適切な方法の話とかを聞きたかった。

問題点その3、数量的調査には一切触れない。この授業というか、このコースの方針だと思うけれど、数量的調査のやり方とか、読み解き方はノータッチ。修論でやりたいって言っても、「統計を勉強した人じゃないと無理」とのこと。でも、世の中の研究の大半は数量的調査なんだから、せめて導入ぐらいやってほしい。

問題点その4、先生のファシリテート下手。これは授業のデザインというより、先生個人の問題が大きい。どこもディスカッションが盛り上がっていないのを見て、先生が困惑している、というのがほぼ毎回。毎回盛り上がっていないなら改善策を考えてきてほしい。

なかなか楽しくない授業だったので、恨みつらみが多めです。

Critical Perspectives (選択)

授業時間:180分

授業時期:Term2 (1月〜3月)

評価方法:学期末のエッセイ (5000words)

楽しんだ度:★★★⭐︎⭐︎

内容:

教育に関する色々なトピックについて取り上げていく授業で、毎回別のテーマ。テーマによって先生も変わる。反転学習(各自予習するのが前提の授業スタイル)とか、アクティブラーニングとか、教師のクオリティとか、トピックは面白かった。

毎回先生が変わるので、飽きなくていい反面、あんまり授業に愛着が湧かない。実際、生徒の出席数もゴリゴリ減っていって、最初と最後を比べたら多分半分以下。

リーディングとは別に、毎回授業の宿題が出ていたから、勉強する理由づけになったのは良かった。が、この宿題は成績に入らないため全然皆やらず、皆やっていない宿題は授業のトピックになりようもないので触れられず、という感じだった。私も一応最後まで提出し続けたけれど、これ意味あるか…?という気持ちを無視するのが大変でした。

授業のトピックは旬な内容が多かったから、そこは良かったです。

授業は四つしかないため、手を抜いたらだいぶ楽だと思います。私は結構真面目に取り組んでいたほうだと思いますが、それでも「どうにも間に合わなくて寝られない」みたいなことは皆無。マストの文献に加えて、「マストではないけれど読むといいよ」の論文もだいたい毎回読んでいけるぐらいには余裕ありました。もうちょっと追い込んでいただいていいんですが…というのが正直な気持ち。

ただ、授業で読めと言われない限りはこういう論文は読まないので、そういう意味ではいい機会でした。

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