私立か公立か、教員採用で目指すべきは?

教員採用

教員を目指す人なら、私立か公立、どちらを目指すか迷ったことがあるのでは?

私はもともと公立志望でしたが、色々あって主に私立で働いてきました。公立もすこーしだけ働いたことがあります。

今、どちらが良いか?と聞かれたら、「公立で経験を積んで私立へ」がベストかなという気もするんですが、どちらも長短あるので、この記事を参考に比べてもらえればと思います。

ちなみに、管理人は東京都で勤めてきたので、だいぶ「東京基準」な内容になっています。また、中学校と高校の採用試験の内容となっていますので、小学校の教員採用についてはカバーしていません。

採用難易度

◆公立(東京都)の場合

東京都で中高の教員になりたいと思ったら、東京都の採用試験を受ける必要があります。都道府県別で試験が実施されているので、受けたい地域を選んでください。

「東京都の試験一本勝負だと怖いから、他の関東圏の試験も併願したい」と思っても、同じエリアは大体同日受験なので、一つに絞る必要があります。

(…と思って、今文科省のサイトを確認したら、茨城県は日付がずれていて併願可能になっていました。大学三年生から前倒しで試験を受けられるようにもするみたいですね。教員不足解消のために政府もあれこれやっているところだと思いますので、最新の情報はご自身で確認してください。)

一次試験(筆記)が7月で、二次試験(面接)が8月になります。

倍率もググると一発で出てきます。私の科目の中高国語で見てみると、令和5年度で1.6倍とのこと。私立より全然低いと思います。

倍率が高いので有名なのが社会(地歴・公民)で、4倍ぐらいありますが、これでも私立より全然低いです。私立と言ってもピンキリなので、私の観測範囲内の話にはなりますが。

筆記試験の科目が、教職教養と専門教養です。

教職教養というのは、教育にまつわる基礎的?な知識(法律とか教育哲学とか)で、どの科目の教員も共通です。ひたすら暗記、という感じ。「教員になってから全然使わないよね」と、良く同僚と話すヤツです。

専門教養は、国語科だったら国語の知識問題です。結構簡単では?と思った記憶があります。試験を解きながら「こんな簡単な問題で国語の教師になる人を決めちゃって良いんですか…」という気分になったのを今でも覚えています。

センター試験より簡単なぐらいだと思います。

二次試験が個人面接と集団面接だったんですが、2023年から集団面接は廃止になるようです。私の時は、面接までに授業案を作成しておいて、当日はそれに沿って面接しました。

公立の教員採用試験は、市販の過去問もあるし、試験情報もたくさん出ています。とりあえず、過去問を一冊やってみるのが一番手っ取り早いと思います。

私の場合、一次試験の勉強は、半年ぐらいの期間をかけて、ぬるっとやっていたと思います。教職教養の暗記が一番時間がかかりました。

東京都の場合、中学校と高校の受験は分かれていません。「絶対高校で教えたい!」と思っても、中学校に飛ばされる可能性があるのでそのへんはご注意ください。

◆私立の場合

一番オーソドックスなのは、各学校が出している募集情報を見て、自分で応募したいところに応募していく、という方法。求人情報は「日本私学教育研究所」のサイトの「教職員募集情報」にまとめてあります。(ググれば出てきます。)

私立の教員は空席補充でしかない、つまり辞める先生がいなければ募集されません。「自分の母校で働きたい!」と思っても、良いタイミングで募集が出るかは完全に運です。

どんな採用試験をするかは、募集する側の学校次第です。ざっと20校は私立の採用試験を受けましたが、書類審査を経て、筆記試験・模擬授業・面接の組み合わせが多いかったです。

書類審査を通らないと、試験にすら至らないです。書類で、出身大学名は絶対に見られています。出身大学に自信がない(=学歴が高くない)と、戦えないと思います。

学歴の基準としては、「その学校の卒業生のボリュームゾーンの大学」は少なくとも必要だと思います。つまり、卒業生の大半がGMARCHに行くような学校で、日東駒専卒の教員が採用試験を受けても、なかなか厳しいということです。よほど、学歴以上に輝く経歴があるとか、コネがあるとかなら別ですが。

筆記試験のレベルは、ほぼ学校の偏差値に比例しています。その学校の偏差値プラス5〜10ぐらいの試験が出ると思ったら良いんじゃないでしょうか。

超難関校の採用試験も受けたことがありますが、難しすぎてちんぷんかんぷんでした。国語の試験というよりも、国文学者のための試験という感じでした。国語一科目で試験200分やった、某有名校のことは忘れられません。笑

倍率は公表されていませんが、有名校だと、書類審査を経て試験会場に集まった受験生が10人ぐらい居て、そこから1人に絞るので、20倍ぐらいあるのではないかと思われます。

偏差値50以下の、正直有名じゃなさそうな学校でも、試験会場には5人ぐらい受験生がいました。

純粋な倍率だけでなく、これといった試験対策が公表されていないことや、自分で募集情報を吟味して応募しなくてはいけない点を考えると、公立よりも難易度は高いと思います。

他にも、「教員採用のエージェントを使う」「私学適正検査を受ける」などの方法もありますが、難易度が格段に下がるということはないです。

採用難易度をまとめると以下のような感じです。

スーパーホワイト私立(御三家、大学附属等)>高偏差値の私立>偏差値低めの私立(自称進学校)>公立>評判の悪い私立

ただし、私立は「最初はとりあえず非常勤からでお願いします」という案件もかなり多いです。しかも、「非常勤から専任になれる確約は無し」というパターンが大半です。この「私立非常勤スタート枠」を考慮したら、相対的に公立の難易度が上がるはずです。

待遇(給与・休暇)

上述の通り、私立で専任になる方がだいぶ難易度が高いと思われますが、その分待遇が公立に比べてめちゃくちゃ良いかと言ったらそういうわけでもありません。

◆公立

公立の場合はシンプルです。自治体が公表しています。

例えば、東京都の初任給のモデルケースだと、年収405万円ということになっています。

勤続年数に応じて上がっていって、役職(校長とか)に就くと、手当が加算されます。校長になると、年収1000万円を越える計算になります。

どんなにポンコツな働きぶりでも、給与が下がることはまずないです。クビになることもほぼありません。逆に、どんなに有能な先生でも、勤続年数と役職手当以外で給与が上がることはありません。

部活がなければ土日休み。いくら残業しても、残業代はつきません。休日出勤手当は数千円程度つきます。

有給は年20日、育休が約3年、その他諸々「⚪︎⚪︎休暇」が使えるようです。「生理休暇」なんていうのもあってびっくりしました。

◆私立

恐ろしいことに、私立の大半の学校は、求人票に給与を載せていません。大体、給与欄には「本校の規定に応ずる」みたいなことが書いてあります。

じゃあどのタイミングで給与が分かるのかといえば、最終面接の段階でようやく…という感じです。

一応、私立の全体的な目安として「給与は公立に準ずる」ということになっています。公立よりも就職難易度が高くても、給与がめちゃくちゃに高い、というわけではございません。

実際、私の私立での給与も、公立プラス数万〜数十万円、ぐらいでした。

一部の、資金の潤沢なスーパーホワイト私立とかだと、桁違いでもらえるようです。初任給が公立の1.5倍ぐらいのところもあると思います。

休暇に関する条件も、私立は学校によってかなり違います。スーパーホワイト私立だと、「8月の出勤1日のみ」みたいなことも起こります。私立だと土曜日も授業していることが多いと思いますが、土曜日の出勤分の代休が取れるか否かも学校によります。

私の働いていた私立は、「土曜日は半日しか授業していないから、その分平日の午前中だけ休みにします」という形でした。とはいえ、土曜日も夕方まで帰れなかったりするので、実質週休1日です。

残業代がつかないのは公立と同様ですが、公立より色々手当をつけてくれる学校もあります。学校の財政と運営方針次第です。

有給の規定も学校次第ですが、私が働いた私立は全部不明瞭でした。いまだに何日有給を取れたのか分かりません。

私立ならクビはあり得ます。年度途中でいきなり切られることはないにしても、ほぼ退職勧告されているような感じで年度末に去っていく先生はたまに見ます。

逆に、出世レースもある学校にはあります。特に大学受験に力を入れているタイプの学校。ただ、基本の給与水準は、どの学校でも勤続年数ベースだと思われます。

職場環境

職場の雰囲気というのは、学校によるところが大きいですが、私立は資金が潤沢な学校でない限り、「商売である」ということがついて回ります。逆に公立は商売っ気が無さすぎるがゆえに、めちゃくちゃ効率が悪かったりもします。

◆公立

私立と違って異動があるので、特定の派閥などは出来にくいです。が、公立の異動って同じようなエリアをぐるぐる回っているだけのことが多いようで、エリア内での派閥はありそうです。

教員同士が競争する、という雰囲気はあまり無さそうです。足引っ張ってくる系の人はどこにでもいると思いますが、ライバル意識的なのは少なそうです。

公立の先生にビジネスの意識は全然ないので、他業種から来た人はびっくりすると思います。私は、公立の学校の先生が自分の職場用のメアドを持っていないのを知り、ちょっと引きました。

今の時代にもなおFAXが廃れずに残っている理由がよくわかりました。

悪くいえばぬるいですが、よく言えば平和です。多少のいざこざがあったり、特定の「嫌なやつ」がいたりはするかもしれませんが、「学校全体として殺伐としている」みたいなことは起こりにくいと思います。特に東京都は学校も多い分、入れ替わりも多いので、フラットな感じがしました。

建物の綺麗さは、そのエリアの財政次第です。PCは鉄のアクセス管理で役に立たないし、プリンターとかも性能最悪でした。その割に、生徒は全員Ipad配られていたりするので、ちぐはぐな感じが否めません。

◆私立

「生徒の人気を獲得してナンボ」みたいなところがあります。特に進学校だと、「⚪︎⚪︎先生のクラスから難関大合格者が⚪︎名!」ということを競う風潮もあります。

先生が入れ替わらないので、派閥もあります。ただ、派閥で出世レースが決まるわけでもないので、派閥自体が害悪になることはあまりなかったです。

学校全体の考え方としても「いかに質の良い生徒を獲得するか」ということが重要項目になります。外の業者とのやりとりも公立より全然多いです。

教科教育に熱心で、自分のオリジナルな教え方で生徒の進学を助けたい!という人にはぴったり。

建物の綺麗さは学校次第ですが、設備費に関しては、総じて公立より潤沢だと思います。学校行事とか、教育設備にお金をかけることに対して、私立の方が抵抗がないです。

もちろん学校の財政次第ですが、「⚪︎⚪︎やるために××を買いましょう!」と会議で言える雰囲気がありました。公立はそういうこと自体話し合っている様子がなかったです。

まとめ

公立と私立で比べてみましたが、私立は「学校次第」なことがほとんどなので、あまり参考にならないかもしれません。

ものすごく簡単に言うと、競争することに1ミリも喜びを感じなかったり、資本主義から離れたかったりするのであれば、公立がおすすめです。

逆に、横並びがストレスフル、実力を試したい、という人なら私立。

もちろん辞退のタイミングは考える必要がありますが、「私立と公立の両方受けてみて、受かったところに行く」というのもアリと言えばアリなので、選択肢は広めに持っておきましょう。

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